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Channel: 銀座中央通商店街
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牛丼並 つゆぬき 紅生姜

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吉野家の牛丼は並盛り、つゆ抜き、紅生姜山盛りに限る。そしてこれを一気にカッ食らう、これが一番牛丼の美味い食べ方だと自分は信じている。白米の旨さがベースになって、メインの牛肉の煮込みと紅生姜のスパイシーなアクセント。生卵は?と疑問に思う方も居られるであろうが、もちろん入れていたことも過去にはあった。ただ生卵を入れることで、せっかく白米そのものの旨味も味わうと言うつゆ抜きにしたコンセプトが台無しになってしまう矛盾が介在し、幾度かのトライと検証を重ねて最終的にはつゆ抜きが一番の結果を導き出した。そしてそれら白米、牛肉の煮込み、紅生姜の三位一体で醸し出す旨さは、丼界の中でも頂点とも言えると自分は信じて疑わない。

20分前、自分は確かにその牛丼を渋谷の雑踏でまみれながら食べていた。Keith Jarrett TRIO。今年で結成30周年の佳節を迎えたそうだ。その記念の日本でのコンサートツアー。そしてこれが最後のTrioでの来日とか。ここ若者の街渋谷では完全away感たっぷりな中、一人立つ43歳みずがめ座O型。若者たちから親父狩りに合う恐怖心に怯えながら、重い体躯をホールへと向けた。

そして…
彼らの奏でる空間は、やはり至高の空間だった。彼らの演奏スタイルは大きく二分することができる。即興演奏かStandard主体かの2つ。即興演奏ももちろん良いのだが、やはり限られた素材の良さを、彼らなりのアレンジとタイミングでStandard曲を至高の芸術的な料理に創り上げて行く過程は何物にも変え難いスリリングな旨味を味わうことができる。たった2時間余りの出来事だったが、今回も僕は深淵なるStandardの心地良さと即興演奏の狭間で漂うことができた。
On green dolphin streetに始まり、4回ものアンコールに応えてくれた彼らTrio。ホールを出るといつもの渋谷の街並みと雑踏がそこにあった。人々が行き交いそれぞれの思いが交錯し合う大都会、東京渋谷。それらの思いに余韻がかき消されないよう、帰路の上野駅で氷結レモン500mlと共に常磐線の快速電車に揺られている。iPod から流れてくる彼らの過去の、至高の演奏に身を委ねながら、こう思い直すのだった。やはり吉野家の牛丼はつゆ抜き、紅生姜山盛りに限ると。

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